青山ブックセンター本店で、ブックフェア「本の島――オマージュ 津田新吾」」が開催中です。同店の文芸書担当で、「本の島」をめぐるすばらしい棚づくりを手がけた寺島さやかさんによるフェア紹介文を掲載します。お店のほうに、ぜひお立寄り下さい。(A)
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昨年50歳の若さで逝去された、元・青土社の名編集者、津田新吾さんの手がけた本を揃えた棚にはじまり、今福龍太さんの『群島 - 世界論』で言及された本たちをベースにしてつくられた棚へとつながっていくブックフェア「本の島」。
本の、肉体も魂も愛しぬき、そして本に愛された津田さんが、写真や文字のレイアウトまで、どこまでも吟味しつくした美しい書物のかずかずと、ル・クレジオや宮沢賢治、エドゥアール・グリッサンなどが並んだこの場所にあるすべての本がつながって、洗いざらしのすがすがしい空気と、ふしぎな陶酔感にあふれる「本の島々」をかたちづくっています。
また、吉増剛造さんが題字を書き、管啓次郎さん、野崎歓さん、堀江敏幸さん、田中三蔵さん、今福龍太さん、冨原眞弓さん、前田英樹さん、関口涼子さん、鄭暎惠さん、宮地尚子さん、小池寿子さん、西口徹さん、鵜飼哲さんから寄せられた追悼文を集めた、小冊子の展示も行っています。
この棚が繋いだひとびとの出会いをきっかけに、津田新吾さんが構想していたという「本の島」をめぐるトークイベントを開催することになりました。
「一冊、一冊の本はそのままひとつひとつの島で、島と島が集まって列島をかたち作り、その列島にわれわれの心が住みつく。」
管さんの書かれた、津田新吾さんへの文章のなかの一節です。
本の島は、すべての場所、すべての人々に向かって開かれています。
みなさまのご来店をお待ちしております。
寺島さやか(てらしま・さやか 青山ブックセンター本店)